NPO法人 ホームヘルパー・ノア
札幌市厚別区青葉町8-1-17
理事長 大滝和子
設立 1999年5月28日
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●かりんの森入り口
●「かりんの森」
札幌市厚別区の閑静な住宅街を歩くと、庭の手入れの行き届いた一軒の家に、「かりんの森」の表札がある。庭に回ると、穏やかな話し声が聞こえる。ここで、NPO法人ホームヘルパーノアはデイサービスを運営している。
●門から玄関まで
門の横には段差がある。玄関を入るとリビングまでに、また段差がある。バリアフリーを意識している様子は感じられない。これが、利用者本人の自立を促すためと、さらに利用者の家族をサポートするという、ホームヘルパーノアの介護に対する姿勢である。
すべての一般家庭で、高齢者が快適に過ごせるようなバリアフリーが整っているわけではない。施設から自宅に帰れば、トイレにしても入浴にしても家族の手を借りなくてはならないほど、一般の住宅には、まだまだバリアが多い。でも、「できるだけ自分のことは自分でしたい」と一番強く思っているのは、高齢者自身だ。施設での段差のない全てバリアフリー環境は、本人の生活能力を後退させてしまうことになると、ノアは考える。だから、最低限の手すりと、危険度の高い部分だけをバリアフリーにし、その代わり、個々の利用者の行動に合わせて必ずサポートすることにしている。
●浴室の様子(左)、一般的な浴槽(右) |

●滑りにくい浴槽マット(左)、床から浴槽まで低い設計
(右) |
●設立の経緯
発起人で理事の澤出さんが介護ボランティアを思い立ったのは、夫の母の介護で“壁”にぶつかった体験からだった。義母を迎えるにあたり、階段の昇降機を特注するなどバリアフリーにして、環境を整えたつもりだったが、義母は3カ月で夫の弟のところに行ってしまった。「義母はそれまでの生活から切り離され、歴史が遮断されて寂しかったのでしょう。私が尽くすほど依存が激しくなって・・・」と、澤出さんは言う。続けて、「精神的な問題ですね。でも、当人の尊厳はもちろん、介護する側の尊厳も守らなければうまくはいかないと思いました。そして介護者の許容範囲はそれぞれ違い、そこを補って、介護される人の尊厳を守るために、介護者のサポートが必要なんです」と設立の経緯を話す。
その後、「横のつながりで、たすけあいの介護」をモットーに、介護保険の対象団体となるためにNPO法人を取得した。
●事業内容
利用者は介護度の高い人や一人暮らしが多く200人程いる。有償ボランティア活動もあるため、依頼内容によって迅速に柔軟に対応できる。依頼があればすぐ対応することも多く、実際は無償になることも多いという。
【介護保険事業】 訪問看護、 居宅介護、 デイサービス
【有償ボランティア】 生活支援
●組織運営の秘訣
設立当初のスタッフ数は、介護支援専門員2、介護福祉士4、1級ペルパー6は、2級ヘルパー29、看護士1だったが、今もあまり変わっていない。活動範囲も、厚別区青葉地区と拡大していない。大きな変化は、発起人自身が、直接ヘルパーなどの管理をしなくなったこと。管理も横のつながりの方が、ヘルパー同士のコミュニケーションが円滑になると考えて、そうしてみるとうまくいった。現在、責任者は組織全体の運営の他、ヘルパー育成研修の委託を受けたり、介護職員の倫理を考えるなどの講演活動などを行っている。こうした活動は、ノアを拡大するためではなく、利用者により快適な環境を提供し、ノアの介護の対する考え方をもっと広めるため、と言う。(インタビューより)
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