2、小樽菓子店「あまとう」の店舗づくりに学ぶ
 第1回は住まいに学ぶバリアフリーということでDPI(世界インターナショナル)世界会議でも利用されたアートホテルズ札幌を紹介しました。今回は、小樽老舗のお菓子店である「あまとう」のバリアフリーを意識した店舗づくりに注目してみたいと思います。
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 本店2Fの喫茶コーナー
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●高齢者を意識した経緯
一九二九年(昭和4年)創業の小樽でも老舗のお菓子店「あまとう」。三代にわたるあまとうファンもいるそうです。実際に本店2階の喫茶コーナーでも、常連客と思われる多くの年配の方々が、それぞれの時間を過ごしていました。喫茶コーナーへの階段は広く、手すりは設置されているものの多少急であるにもかかわらず、杖をついた年配の方が訪れていたことには、地元ファンのあまとうへの愛着を感じます。
本店横の新店舗「パーラー運河の月」での高齢者に配慮した店舗づくりは、そんな常連客への感謝の気持ちを込めてのものだと思います。
●入り口からすべて段差がないトイレ
●トイレ
新店舗のトイレは、車椅子でも楽に通れるように幅が広くとられています。トイレの中に入るまでの通路は段差がなく、ドアの取手も低く、大きなものになっています。手洗い場の位置も低く、左右の間隔も余
裕をもって設置されています。それらの設備は、一般の公共施設などでの障害者用のものと変わりませんが、注目するのは店舗面積に対するトイレの広さです。喫茶コーナーの広さと比べて、トイレの広さ
は、高齢者などを考慮したバリアフリーの意識の高さを感じさせます。
●車椅子でも通れる広い通路
●喫茶コーナー
新店舗1Fの喫茶コーナーは、座席数15〜18名ほどで全体をやわらかな色で統一しています。席の間隔は写真で確認できるように広くとられていました。テーブルも丸い形のものが使われていています。これも角にぶつかっ た時のことを考慮してのこととでしょう。そしてテーブルを支える脚は中央に1本だけのものを使用していて、車椅子でもテーブルの脚がじゃまにならなように配慮されています。窓側の長いカウンターも中央の1本だけの支柱で支えられています。
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